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 久米美術館開館30周年記念
「岩倉具視の能楽再興を支えた人物(ブレーン)―久米邦武と能楽展」
期日:2012年6月2日(土)~7月22日(日)

岩倉具視の能楽再興を支えた(ブレーン)―久米邦武と能楽展明治4年に日本を出発した岩倉使節団は、欧米での視察中、各国でコンサートやオペラによる饗応を受けました。使節団に随行していた久米邦武は、未知の芸術であったオペラを、西洋国家の儀式や典礼を支え、海外からの賓客をもてなすにふさわしい芸術と理解し、日本でこれに相当する芸術は能であろうと着想したことを、報告書『米欧回覧実記』にも記しています。同時に近代国家において、国民が崇高な娯楽を持つことの重要性も認識しました。

武家の式楽として、江戸時代には幕府や大名の庇護により興隆していた能は、明治維新後、活動の基盤を失って急激に衰退しました。やがて明治10年代に入り政情も安定すると、皇室からの愛好や華族による新たな擁護を受け、また明治14年には芝能楽堂も設立されるなど、次第に新たな活動の場を得るようになりました。

この明治の能楽再興運動を先導したのが岩倉具視であることはよく知られていますが、その背後には、能楽の衰退を憂慮し、能楽の芸術的価値を検証し、保護団体「能楽社」で世話役として働いた久米邦武の活躍がありました。政治家・岩倉にとって、久米の働きはまさにブレーンというべきものであり、約2年間の米欧視察をともにした二人の連携あってこその能楽再興だったのです。

雑誌『能楽』久米は歴史学者としての立場から能楽研究にも力を注ぎ、多くの論文を発表したほか、新時代の文明人がそなえるべき文化的素養という意識をもって、謡や舞を実践してもいました。

久米邦武の業績分野は史学の枠を越え、科学技術から殖産興業まで幅広く、能楽との関わりもその一つです。本展は、久米による原稿類を中心に、明治の能楽復興運動と能楽研究の様をご紹介しました。

Kume Museum of Art久米美術館
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